本執筆のワケ

This is why I write.

「知力」「体力」「徳力」
これら三つの力を育むことが教育と言われます。

三十路を歩む年齢に達したとき、私は教師になることを決意しました。
理由は、「徳力」の育成のみにあるといっても過言ではありません。
日本社会全体から「徳」を育む環境が激減している現実を目のあたりにし、日本の将来に対する危機感を強く感じたからです。決意から2年後、千葉大学という学び舎で夢を実現する機会に恵まれました。

若者たちの徳力を鍛えることこそが私に与えられた使命だと信じ、ひたすら人格教育に専念してまいりました。そして、10年のときが流れました。

徳力という果てしもない大きな概念を伝えるにあたり、
「人に親しみ人に親しまれる人間の育成」を教育理念に掲げました。
「どうすれば、人と温かい関係でいられるのか。どうすれば周りの人たちから愛される人間になれるのか」その問いに応えるため、ひたすら対人コミュニケーションに関する手法を学び、実践指導を行ってまいりました。

お陰さまで、私の拙いコミュニケーショントレーニングは、大学の担当授業の枠を超え、小中高校生から社会人、主婦、お年を召した方々まで、様々な年代に及ぶまでとなりました。
「先生、私たちだけじゃもったいないです。先生のお話やトレーニングを、もっと世の中の人に伝えてください。」
常に反省ばかりで、なかなか人様の力になれないと思っていた私に、このような有難い声が日増しに強くなってきました。

時代の変遷とともに、コミュニケーションのスタイルは大きく変化しました。そして、その歪が日本社会全体に表出してきたことは、周知の事実です。 未来の宝たちを育てる立場にある親や教師たちが、その変化に対応できなくなり、日本社会全体がどう子供と接したら良いのか、途方にくれている状況下です。また、人間関係に悩み苦しみ、日々の生活さえままならない人々が急増しています。

そんな中、上述した有難い声に素直に従ってみよう、今悩んでいる方々の少しでもお役に立てたらと、そのような想いで本執筆に当たっています。

2007年8月
#096 本執筆のワケ
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