人間皆同じ

We, human have only a few difference

「人ってみんな違いますよね」
「西田君、人間はね、みんな同じなのよ」

誰にでも何気無い人との会話を深い意味もなくずっと覚えていて、ふとした拍子に思い出すといったことはないだろうか。
文頭の会話はその一つで、私が23歳のとき林裕子さんと交わしたものである。
林裕子さんは、在ケープタウン日本国領事館勤務時の館長夫人だった方だ。
とても華やかでお話好き。どんな方でも一瞬にして「裕子ワールド」に惹きこんでしまうほど社交術に長けた方だった。イタリア通であり、いつも本場のパスタをこしらえてくださった。館長同様、徹底して社会人としての基礎を身に付けてくださった掛け替えのない恩人である。(ひとりごとVol.16ご参照)

林ご夫妻は、私の任期満了の数か月前に帰朝命令(日本に戻って外務省に勤務)を受けられた。
ご帰国前の約1週間、おいしいパスタにつられて、毎夜引越しのお手伝いに上がった。荷物の整理をしながら、普段はゆっくりお話できなかった林婦人と色々な話をさせていただいた。林裕子氏個人として、外交官婦人として、一人の人間として、話のネタは尽きることがなかった。まるで、毎日演劇鑑賞をしているかのように、心躍りながら話を聞かせていただいた。

ご帰国前日の夜は、世界中の民族性や国民性などの話をしてくださった。お話の後、私は南アフリカでの生活を通して、文化の違いや人の考え方などの違いを生意気にも熱っぽく語っていた。
すると、林婦人は、 「私は外交官夫人として、色々な人と接したわ。なんて人ってこんなに違うのかしらって思う時期もあったわ。でもね、今はこう思うのよ。人間は、みんな同じだってね。」

「西田君、人間はね、みんな同じなのよ。」

国際教育に携わり15年ほど経つ。この言葉が身にしみる昨今である。

2006年1月
#077 人間皆同じ
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