Season

食いしん坊め。食べ物の話か? いえいえ「美味しい」人の話です。

我自主ゼミでは、月に一度の割合でスペシャルセミナーなるものを開催している。様々な業界でご活躍の方をお呼びし、見聞を広めようという主旨だ。実際「大学ではなかなか聞けない貴重な話ばかり」と、ゼミ生たちにも好評だ。

先月、どなたにお頼みしようかなと思案していたそんな中、齋藤友布樹(さいとうゆうき)という大学の後輩から電話が入った。齋藤は、かつて私が亜細亜大学国際交流部勤務時に、留学プログラム支援組織で活躍してくれた若者だ。現在野村證券株式会社に勤務する社会人4年目の27歳である。

「西田さん、報告したいことがあります。近いうちに時間を作ってくれませんか。」
電話越しの声に張りがある。きっと良い知らせだなっと確信しつつ、数日後東京駅で待ち合わせをした。出張前で時間が取れず大変に申し訳なかったが、最終新幹線までの数時間、地下街のお店で食事をした。

期待通りの報告、いやそれ以上だった。

「かねてからの念願であった社内留学選抜試験に合格できました。MBA(経営学修士)取得のため、留学することになりました。」
いつもながらのさわやかかつ歯切れの良い口調である。
喜びも束の間に、更なる報告が斎藤の口から発せられた。
「実は、今お付き合いしている女性と年内にも結婚します。」
相変わらずさわやかな口調だが、このときばかりは、歯切れの良さが照れと初々しさに変わっていた。

心を込めて一献交わした。

時間を惜しみながら様々な話をした。
顔の表情、発する言葉、そこから感じられる漲る自信と謙虚さ、何をとっても「美味しく」感じた。

「こいつ、今まさに『旬』だな!」いつもの私の直感が奔った。
「よし、次のスペシャルセミナーは友布樹に決まり!」
先輩の特権を利用して、その場で半強制的に内諾を得た。

直感は的中した。今の齋藤を象徴するようなエネルギー溢れる素晴らしい内容だった。
後輩の成長を眩しく感じた。頼もしさと嬉しさで胸が一杯になった。

人生も、そのときどきに「旬」があるように思う。

「旬」はやっぱり美味しいものだ。

2002年6月
#034 旬
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